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01/18/2009    
りっちゃんとの甘いピロートークを妄想したら、何だかイミフなものになって帰ってきた。どういうことなの…。
――死にたくなるの。

律子は言った。

笑顔だった。

窓をあけにいった川上は立ちどまって、その顔をまじまじと見つめた。

――どうして?
――わかんない。

蛍光灯がわずかに音を立てる。開け放たれた窓から、冷たい空気がカーテンの隙間をぬって流れ込んできた。肌にまとわりつく湿り気が洗われてゆく。

――死にたくなるって、いつにだよ?
――…してるときとか、色々。
――……そっか。

律子が体を起こす。目の焦点が今ひとつあっていない。わずかに湿った掛け布団がくしゅりと言った。

――俺はたまに殺したくなるよ。
――わたしを?
――ああ。

フローリングを少しだけぺたぺたさせて、川上がベッドに戻ってくる。律子が布団をめくって、繭の中へ招き入れた。むわっとした空気があふれだす。

――需要と供給、あってるな。
――そうね。
――俺、まだつかまりたくないなあ。
――わたしもまだ死にたくないわよ。
――…どっちだよ。

頭をなでる。ほどかれた髪の毛は普段結んでいるせいか、ウェーブになっている。人差し指をまきつけて、先端をぼうっと眺めた。

汗が次第に乾いていく。

川上は肺にたまった空気を吐きだして、律子を押し倒した。んっ、と声があがる。抱きしめると、シャンプーと汗のまじった、独特の匂いがした。

――細胞壁ってあるでしょ?
――細胞壁?
――植物にある奴。
――…生物でやった奴?
――そう、それ。
――それがどうかした?

律子が体を裏返して、川上の胸に体をあずける。白い指で少しヒゲの生えてきた頬をなぞる。

――わたしにもあるんじゃないかなって。
――動物にはないんじゃなかったか?
――ないけど、あるの。
――…何でさ。

律子の頭を抱きしめる。頬がぺたりとくっついた。

――とけたいな。
川上の胸に顔をうずめて、律子がうなった。

――そっか。俺もとけたい。
背中をなでる。

鼓動が次第に速度を落とした。二つのビートはどこかちぐはぐだ。

通りを歩いていく人々の声が聞こえてくる。歌いながら自転車にのる酔っ払い。カツカツと音を立てるハイヒールの女性。笑いあうカップル。

カーテンが少しだけゆらゆらとした。川上の人差し指は、律子の頭の上でリズムを取っている。

――もう一回、しよっか。
――ああ。

両脇に手をいれて、律子をひっぱった。肌をこすれあわせながら、二人は接近する。

衝突する寸前に、
――あ。
と、川上が間抜けな顔をした。

――どうしたの?
――窓、閉めないと。

川上がベッドから降りる。

律子は川上の後姿を少しだけみつめてから、視線を落とした。布団の端をきゅっと握り締める。

蛍光灯がじじじと鳴った。繭の外はもう寒い。
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